Misaki8103’s blog

本や映画、ゲームなどの感想、日々の体験を書き綴るブログです。

『脳が認める勉強法』読了

『脳が認める勉強法』読了。脳や心理学などが専門の新聞紙記者による、科学的で効率のよい学習法が書かれた本。学習=記憶と捉え、記憶に関わる脳の働きが説明され、それを基にどのような学習方法・記憶方法が最適なのかが紹介される。

記憶には、保存とそれを検索する機能がある。保存された情報は、検索し思い出すたびに、脳内の他の情報との関連性が強まったり、新たな情報が加わったりして、強い記憶となり容易に検索できるようになる。

記憶の過程では、いったん全て覚えた後に、それらはふるいにかけられ、自分が欲する必要な情報のみが強く保存される。思い出す=記憶を検索する時には、それを惹起する手がかり、記憶に紐付いた背景情報があると、より容易に思い出せる。静寂で何もない場所よりも、音や周りの風景や空気感など背景情報のある場所で記憶すると、記憶の検索がしやすくなるという。

また、一度に詰め込まず学習時間を幾度かに分散することや、勉強を始める前にテストを課すことも学習に有効だという。分散は、覚えるために忘れる=不要なことをふるいにかけ忘れたり、思い出すことをくり返すことで検索機能が強くなる。事前テストは、その後の勉強で覚えるべき事への関心や集中を高め、記憶の効率がよくなるという。

問題を解決するための、ひらめきや洞察力を得るための方法も書かれている。まず、行き詰まるまで考え抜き、一旦それを中断し離れる。離れている最中も、脳は、関心のあることや解決できていない問題に関連する情報を無意識に集め、答えを出そうと働く。そうして休み、一歩離れ俯瞰すると、ある時ひらめきが降りてくる。

多様な状況の実戦に応じる学習法も書かれている。解法が同じ答えを連続でこなすのではなく、解法の異なる問いをランダムに解き、数ある解法を自分で選ぶ体験を積むことが役に立つという。そうすることによって、多様な状況に対処する=その場で解法を選ぶという訓練を積むことになり、より応用の効く学習になるらしい。

目利きやプロ選手が持つ「目利き」能力の取得方法についても記載されている。目利きは、目の前の多くの情報と過去に得た有用な情報を照らし合わせ区別し、必要な情報のみを瞬時に得ることができる能力を言うらしい。その能力を得るには、情報を選り分ける訓練を機械的に行う知覚学習が効果的という。瞬時に選り分ける、じーっと意識的に見ずとも、無意識が情報を選別してくれるようになるらしい。

睡眠は、覚醒時に得た情報の整理と定着に大きく寄与する大切な機能であるとの記載もあった。

この本に記載された記憶に関する多くの知見は、ある程度の年齢の人ならば、体験的に知っていることも多いかもしれない。それでも、科学によって裏付けされた事柄を具体的なエピソードと共に読むのは面白く、この本自体が、本の中で幾度も説明される「記憶を呼び起こすきっかけ」になってくれたと思う。

 

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脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!

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