Misaki8103’s blog

本や映画、ゲームなどの感想、日々の体験を書き綴るブログです。

『モナドの領域』読了

モナドの領域』読了。筒井康隆氏による、ミステリSF。

ある日、河川敷に女の片腕が、公園に女の片足が見つかる。時を同じくして、ベーカリー店では、河川敷の女の片腕に瓜二つなバゲットが売り出される。物語は、どうして腕が現れたのか?を、形而上学的に、または衒学的に煙に巻かれるように、明らかにされていく。

2015年末現在の風俗や流行りごとが散りばめられた文章は楽しく、200頁強の物語は、あっという間に読み終えられた。物語の構造自体を話すことがネタバレになってしまうので、それには言及できないのだが、夢オチ?を読まされた時のような肩透かし感が、物足りないというのではなく、良い意味の悪ふざけ感を伴ってくだけているのが面白く感じられた。そこが嫌だなと感じる人も居るだろうが、そこが筒井康隆氏らしい小説なのだとも思った。

現実がSFを超えて陰鬱としていると感じられる昨今なので、筒井康隆氏の悪ふざけ、カラッとした物語を読んで、少し胸のつかえが下りたように感じられた。賛否両論あるだろうが、良いSF小説と思えた。

 

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モナドの領域

モナドの領域

 

 

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